秀丸の酒とゲームとロボットの日々

酒とゲームとロボットが大好きです

酒の日々・読むお酒 李白『將進酒』

 久しぶりに『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』を観ましたよ。すっごいわくわくしました。子供に還って、大人のヒーローにメロメロだ。

 

 今回は、李白さんの『將進酒』に挑戦だ。もとは、漢代の楽府の曲名なのだそうな。

  

君不見黄河之水天上來  君見不や黄河之水 天上より來る

奔流到海不復回  奔流して海に到り復回ら不。

君不見高堂明鏡悲白髪  君見不や高堂の明鏡 白髪を悲しむ

朝如靑絲暮成雪  朝には靑絲の如く暮には雪と成る。

人生得意須盡歡  人生 意を得て須らく歡を盡すべし

莫使金樽空對月  金樽をして空しく月に對せしむる莫れ。

天生我材必有用  天 我が材を生ずる必ず用ゐる有り

千金散盡還復來  千金散じ盡して還復來る。

烹羊宰牛且爲樂  羊を烹牛を宰りて且く樂みを爲さん

會須一飮三百杯  會に須らく一飮三百杯なるべし。

岑夫子 丹丘生  岑夫子 丹丘生

進酒君莫停    酒を進む 君停むる莫れ。

與君歌一曲    君が與に一曲を歌はん

請君爲我傾耳聽  請ふ君 我が爲に耳を傾けて聽け。

鐘鼓饌玉不足貴  鐘鼓 饌玉 貴ぶに足ら不

但願長醉不用醒  但だ願はくは長醉して ―醒むるを用ゐ不るを。

古來聖賢皆寂寞  古來聖賢は皆寂寞たり

惟有飮者留其名  惟だ飮者の其の名を留むる有り。

陳王昔時宴平樂  陳王 昔時 平樂に宴し

斗酒十千恣讙謔  斗酒十千 讙謔を恣にす。

主人何爲言少錢  主人何爲ぞ錢少しと言はんや

徑須沽取對君酌  徑に須らく沽取し君に對して酌むべし。

五花馬 千金裘   五花の馬 千金の裘、

呼兒將出換美酒  兒を呼び將出して美酒に換へ

與爾同銷萬古愁  爾與同じく銷さん萬古の愁。

 

君は見ただろ?黄河の水は天上から来て

奔流して海に至りもう返ってこない。

君は知ってるだろ?高堂の鏡に映る白髪を悲しんでるけどさ

朝には黒かったのが雪のようになるのはあっという間。

人生は気の向くまま楽しもう。

金樽を空しく月に照らさせてはもったいない。

天がわが才を生んだならば、必ず用いてくれるところはあるさ。

たくさんお金使ったって、また回ってくるさ。

牛を割いて羊を煮て、しばらく楽しもう。

すべからく一気に三百杯飲むべきだ。

岑先生、丹丘君

お酒を召し上がれ、杯を停めないでね。

君に捧げるこの一曲。

聞いてくれなかったら、寂しいなあ。

きれいな音もきれいなごちそうも嬉しくない。

ただ願うのはいつまでも酔って

 ―醒めたくない。

昔から、聖者も賢者も死んでしまえば後は何もない。

ただ酒飲みだけが名を留める。

昔陳王は、平樂觀に宴を張り

一斗一萬錢の美酒を酌んで歓楽を欲しいまま。

おいらが何としてお金が足りないと弱音を吐くもんか。

すぐお酒を買ってくるから、ちょとだけ待っててよ。

五花の良馬、千金の皮衣、

子供をお使いに行かせるからさ、

君と萬古の愁にさよならを。

 

 うーむ、自分なりの「いやーん、くー」(意訳)をしたいのですが、今回は靑木正兒大先生の訳が素晴らしすぎて、どうしてもそれに引っ張られてしまいます。

 

  超余談ですが、稀代の名宰相、管仲さんは、こんなことばを残しているそうな。

「一年の計は穀を樹えるに如かず

 十年の計は木を樹えるに如かず

 終身の計は人を樹えるに如かず」

 

 我が国の国会に、人は樹わっているか?

 

 

参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房

       『歴史の活力』(文春文庫)