秀丸の酒とゲームとロボットの日々

酒とゲームとロボットが大好きです

酒の日々・読むお酒 曹植『箜篌引』

 『最強ロボダイオージャ』を鑑賞中。安心して観ていられる勧善懲悪のアニメって、今あるのかな?

 何が正しいか分からない世の中だからこそ、何が正しいか伝えるアニメを観たいなあ。

 

 今回紹介する詩の作者は、曹植さん。あの曹操さんの息子です。曹丕さんと後継者を争いましたが、何かが足りなかったみたい。

 

置酒高殿上  酒を置く高殿の上

親友從我遊  親友 我に從つて遊ぶ。

中廚辦豐膳  中廚 豐膳を辦じ

烹羊宰肥牛  羊を烹し肥牛を宰す。

奏箏何慷慨  奏箏何ぞ慷慨なる

齊瑟和且柔  齊瑟和にして且つ柔。

陽阿奏奇舞  陽阿 奇舞を奏し

京洛出名謳  京洛 名謳を出だす。

樂飮過三爵  飮を樂みて三爵を過ごし

緩帶傾庶羞  帶を緩めて庶羞を傾く。

主稱千金壽  主は稱す千金の壽

賓奉萬年酬  賓は奉ず萬年の酬。

久要不可忘  久要は忘る可から不

薄終義所尤  薄終は義の尤むる所。

謙謙君子德  謙謙たるは君子の德

磬折欲何求  磬折して何をか求めんと欲す。

驚風飄白日  驚風 白日を飄へし

光景馳西流  光景 馳せて西に流る。

盛時不可再  盛時 再びす可から不

百年忽我遒  百年 忽ち我に遒る。

生存華屋處  生存しては華屋に處り

零落歸山丘  零落しては山丘に歸す。

先民誰不死  先民 誰か死せ不る

知命復何憂  命を知らば復た何をか憂ひん。

 

宴会場はこっちだよ。

よく来たね、心の友よ。

宮中の料理人はごちそう作る。

羊をさばいてぎゅうぎゅうぎゅう。

奏の箏は、感情を騒ぎ立てる。

齊の瑟は、やさしいね。

陽阿の踊り子はもう最高。

洛陽の歌い手は胸に染む。

飲んだ飲んだよ三杯目。

食べ過ぎて苦しいから、ベルト緩めよっと。

主人は千金でぷりーず、

客は萬年でさんきゅ。

僕のこと、忘れないでね。

冷たくされたら、悲しいから。

謙遜はいいことだけれど、

頭を下げて、何が見える?

しっぷーれっぷーおひさまとんだ。

日の光は一目散。

いけいけな時は、もう来ない。

人生の終わりに、もういけいけ。

生きてるときは豪邸住まいでも。

死んだらみんな、土の中。

古人で死なない人はいないよ。

天命を知れば、人生知ったこっちゃない。

 

 『箜篌引』は、楽曲の名だそうです。「箜篌」は漢の時代に外国から伝来した楽器で、竪琴みたいなものかなあ。

 

  先入観入りまくりですが、常に前を向いていた曹操さんに対して、父の背中しか見ていなかった曹植さん、な気がします。

 

 

参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房