秀丸の酒とゲームとロボットの日々

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漢字の日々 「言」(ゲン)

 漢字のお話、なんたび?

  

  前回「信」を『字統』で引いてみたら「人と言に従う」とあったので、じゃあ「言」って何なのだ、ということで「言」を引いてみたら・・・というお話。

  

 「言」辛(しん)と口とに従う。辛は入墨に用いる針の形で、盟誓のときには自己詛盟を行い、もし違約のときには入墨の刑罰を受けることを示す。口は f:id:hidemaru1:20200618194509j:plain(さい)で、盟誓の書を入れる器の形。その盟誓の書を載書というので、f:id:hidemaru1:20200618194509j:plain をサイの音でよむ。言はその器の上に辛(はり)をおき、神に盟誓することばをいう。(中略)言は自己詛盟して他に呪詛を加える攻撃的なことばであり、これに対して語は防禦的な祈りのことばをいう。(後略)

 ちなみに「」の読みは、ゲン、いう、ことば。

 いやはや、「言」の口がくちではなくて、針を入れるお皿だということにびっくりだ。何というか、「嘘ついたら針千本飲ます―!」てな感じ?

 言が攻撃的で、語が防御的というのも面白い。じゃあ「言語」で、攻めも守りも完璧だ。

 そういえば、「言」を「ことば」と読むのは何でだろな、とふと思ったので、今度は『字訓』で「ことば」を引いてみよう、と思ったら、「ことば」は載っておらず、「こと」がありました。

 「こと」【言・辞・詞】。ことばとしていう。ことばと事実とは、もとその実体が不離のものであるから、言(こと)はまた事(こと)である。その外にあらわれるものを区別して、「ことば」という。「こと」と「ことば」とは、古代においては実体として連なるものであるから、「ことば」が実体のもつ呪能ををもちうるのであり、そこに、「ことだま」「ことあげ」「ことだて」のような語が生まれる。(後略)

 なるほどねえ。「ことば」はそれだけ力をもつものだから、軽々しくないものをあると言ったり、あるものをないと言ったりしては駄目なのですよ。特に政治家さんは。

 

 それにしても、漢字の成り立ちを調べるたびにつくづく思うこと。

 今私たちが使っていることばは、中国からやってきて、それを昔々の日本人が長い年月をかけて自分たちのものにしていった。中国の文字がなければ、今私たちが使っていることばはなかった。そのことは、忘れないでほしいです。(今の中国を擁護する気は、さらさらありませんが。)

 

 

参考にした本:『字統』、『字訓』平凡社