秀丸の酒とゲームとロボットの日々

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酒の日々・読むお酒 エルベ・ル=テリエ「琥珀色の中に思い出が見える」(『カクテルブルース in N.Y.』より)

 『カクテルブルース in N.Y.』は、フランス人がニューヨークのジェイズ・バーを舞台に描いた、カクテルショートストーリー。登場人物は、ジェイズ・バーのオーナー兼バーテンダーのジェイ、ピアノマンのアルシー、ウェイトレスのローズ、そしてジェイズ・バーを訪れる客。

 

 ピアノマンのアルシーが、昔の家族写真を見ています。その写真の脇に、ラスティ・ネイルのグラスを置くジェイ。こんな写真を見るには、ラスティ・ネイルの反射光くらいがちょうどいいんじゃない?なんてからかいながら。

 実際には、時の流れに侵食され、もう何が写っているか分からない写真。それでも、アルシーにはみんなの顔が手に取るように分かるのです。ジェイは分かってくれてるんだろうなあ。何故かって?

 どうしてなのかってな、氷がグラスの中で渦を巻き、二つの琥珀色したアルコールがキラキラと混じりあうその時、奴の視線は、リキュールとモルトの甘い熱気の中で溺れてしまう。 そして焼けた道路から立ち昇る熱気のように、いろんな思い出が、 奴の頭の中でゆらゆら舞い上がる様子が、俺には見えるからさ・・・・・・。

 

 この本に載っているラスティ・ネイルのレシピは、スコッチ・ウイスキー30ml、ドランビュイ30ml。氷を入れたグラスに入れ、ステア。個人的には、半々だと甘すぎる気がします。

 まずグラスの上で深呼吸して香りをたっぷり体に入れて、それからグラスを明かりにかざすと、リキュールとモルトのゆらぎが、どんな思い出も甘く包んでくれる、気がします。

  

 最近はバーに行けてないですけれど、やっぱりカクテルはバーで飲みたいですよねえ。 

 

 

参考にした本:『カクテルブルース in N.Y.』(求龍堂