秀丸の酒とゲームとロボットの日々

酒とゲームとロボットが大好きです

酒の日々・読むお酒 オキ・シロー「心にしみるブラック・ベルベット」(『寂しいマティーニ』より)

 『鋼鉄ジーグ』を観ましたよ。エンディングのドラムソロが素敵。

 

 『寂しいマティーニ。グラスをはさんで男と女が漂う21話。

 かつての恋人と再会した女。ブラック・ベルベットを二つ注文する男。なぜ結婚しないのかと聞く女に、答える男。

 

「ぼくが結婚しないのは・・・・・・」

 男はいったん言葉を切り、グラスの酒半分ほどを一気にのどに流しこんでから、前を向いたままぽつりといった。

「君が、まだ独身でいるからさ」

 その男の言葉が、優しいブラック・ベルベットと一緒になって、女の胸にしっとりとしみこんでいく。

 

 ブラック・ベルベットは、スタウトとシャンパンのカクテル。私はあまり飲んだことないですが、まさにベルベットのような、柔らかな味わいだそうで。

 これって、男と女が向かい合うテーブルではなくて、男と女が同じ先を見つめるカウンターだから、男のことばが柔らかく、ゆっくりと女の胸にしみていったのではないですかね。

  

参考にした本:『寂しいマティーニ』(幻冬舎文庫

 

 超余談ですが、最近学問の自由がどうとか騒がしいですね。孔子さんもおっしゃっているではないですか。

「学びて時にこれを習う、また悦ばしからずや。」

 詩や礼楽などを学んで、しかるべき時に、学んだことを体得する。それこそ、人生のよろこびではないかね、と。

 学んだことを自分の血肉とする。それこそ、学問の自由。どこか、特定の場所でしかできないことではない。

 

 

参考にした本:『中国古典の言行録』(文春文庫)