秀丸の酒とゲームとロボットの日々

酒とゲームとロボットが大好きです

酒の日々・読むお酒 蘇東坡『月夜与客飲杏花下』

 『酒のほそ道』48巻と、『ワカコ酒』16巻買いました。『酒のほそ道』で、麗ちゃんの出番が少なくなったのが、さみしいなあ。  

 

 さて、まだまだ寒いけど、朝明るくなるのが大分早くなってきたので、春の飲酒詩第二弾。

 

杏花飛簾散余春  杏花 簾に飛んで余春を散じ

名月入戸尋幽人  名月 戸に入りて幽人を尋ぬ

搴衣歩月踏花影  衣を搴げ月に歩して花影を踏めば

炯如流水涵青蘋  炯として流水の青蘋を涵すが如し

花間置酒清香発  花間に酒を置けば清香発す

争挽長条落香雪  争でか長条を挽きて香雪を落とさん

山城酒薄不堪飲  山城酒薄くして飲むに堪えず

勧君且吸杯中月  君に勧む 且く吸え 杯中の月を

洞簫声断月明中  洞簫 声は断ゆ 

月明の中惟憂月落酒杯空  惟だ憂う 月落ちて酒杯の空しきを

明朝捲地春風悪  明朝地を捲いて春風悪しくば

但見緑葉棲残紅  但だ見ん 緑葉の残紅を棲ましむるを

 

杏の花びらが、簾に飛んでいい匂い。

お月さんが、私を訪ねてくれた。

月に誘われ庭に出れば、

月の光が流れるようだ。

お酒を置けば、いい匂い。

わざわざ杯に花びら落とす必要ないね。

この辺のお酒は薄くておいしくないから、

杯に映ったお月様を飲んでよ。

洞簫、声は断ゆ。月だけが残ってくれた。

月が落ちて、杯の中の月が消えるのが悲しいなあ。

明日の朝、意地悪な春風が吹けば、

杏の木も、恨み節。

 

 「勧君且吸杯中月」。ここが好き。

 

 蘇東坡が生きた宋の時代、もっと世に知られてもいいのではないでしょうか。

 

 

参考にした本:漢詩を読む 蘇東坡100選(NHK出版)