9月9日は、ご節句の一つ、重陽の節句。9は陽数であり、陽が重なるのでとってもめでたい日だそうな。この日にお酒に菊の花を浮かべて飲むと、邪気を払って息災であるという風習があります。
そこで、本日は重陽の節句にぴったりの、陶淵明さんの飲酒詩をご紹介。
秋菊有佳色 秋菊 佳色有り
裛露掇其英 露に裛して其の英を掇る。
汎此忘憂物 此の忘憂の物に汎べ
遠我遺世情 我が遺世の情を遠くす。
一觴雖獨進 一觴 獨り進むと雖も
杯盡壺自傾 杯盡きて壺自ら傾く。
日入羣動息 日入りて羣動息み
歸鳥趨林鳴 歸鳥 林に趨きて鳴く。
嘯傲東軒下 東軒の下に嘯傲し
聊復得此生 聊か復た此の生を得たり。
きれいな秋の菊。露にぬれつつその花を、この忘憂の物に浮かべ、我が世を忘れる気持ちがさらに遠くなる。
濁り酒を独り飲み、杯が空になればつい注いじゃう。
日が落ちて鳥はねぐらへ。私は自分を取り戻す。
参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房)