秀丸の酒とゲームとロボットの日々

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酒の日々・読むお酒 陶淵明『飮酒』其七

 9月9日は、ご節句の一つ、重陽節句。9は陽数であり、陽が重なるのでとってもめでたい日だそうな。この日にお酒に菊の花を浮かべて飲むと、邪気を払って息災であるという風習があります。

 そこで、本日は重陽節句にぴったりの、陶淵明さんの飲酒詩をご紹介。

 

秋菊有佳色  秋菊 佳色有り

裛露掇其英  露に裛して其の英を掇る。

汎此忘憂物  此の忘憂の物に汎べ

遠我遺世情  我が遺世の情を遠くす。

一觴雖獨進  一觴 獨り進むと雖も

杯盡壺自傾  杯盡きて壺自ら傾く。

日入羣動息  日入りて羣動息み

歸鳥趨林鳴  歸鳥 林に趨きて鳴く。

嘯傲東軒下  東軒の下に嘯傲し

聊復得此生  聊か復た此の生を得たり。

 

 きれいな秋の菊。露にぬれつつその花を、この忘憂の物に浮かべ、我が世を忘れる気持ちがさらに遠くなる。

 濁り酒を独り飲み、杯が空になればつい注いじゃう。

 日が落ちて鳥はねぐらへ。私は自分を取り戻す。

 

参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房