今回紹介する詩の作者は、唐の則天武后~玄宗あたりに仕えていた張説さん。なんかもう真っすぐに、「ぼかぁお酒が好きなんだ!」と叫んでます。
醉後樂無極 醉後 樂み極まり無く
彌勝未醉時 彌勝る 未だ醉はざる時に。
動容皆是舞 動容 皆是れ舞
出語總成詩 出語 總て詩と成る。
酔っ払いの楽しみは止まらないやい。
酔ってない時がうそみたい。
ぼくの動きはすべて舞。
ぼくのことばはすべてうた。
確かにね、酔った時のほうが、文章にひらめきの神様が舞い降りてきますよ。すぐ眠くなるから、長続きはしないのだけれども。
超余談ですが、最近お気に入りの中国由来のことわざ。
「陰徳あれば必ず陽報あり」
陰でよいことをすれば、必ずいい結果となって返ってくるという意味です。
もともとは、漢の時代の『淮南子』という書物のなかにある、
「陰徳有る者は、必ず陽報有り。隠行有る者は、必ず昭名有り。」という文。
古代中国の春秋時代、楚の国に爲艾猟(孫叔敖)さんという名臣がおりました。彼が幼いころ、なんと両頭の蛇を見てしまったのです。幼い孫叔敖さんはとっさにその蛇を殺し、土に埋めた後、泣きながら家に帰りました。
彼のお母さんが、彼が泣いている理由を聞くと、彼は両頭の蛇を見た者は死ぬときいたことがあって、自分もそうなると思って泣いていたのだそうです。お母さんがその蛇が今どこにいるか聞いたところ、他の人が見るといけないので、殺して埋めたとのこと。そこでお母さん、
「人に知られない善行をおこなった者に、天はそれに報いて福をさずけてくれるのです。死にはしません。安心なさい」
仕事で単純作業に飽きたときとか、道端のごみを拾ったときとか、このことわざを心の中で唱えると、少しやる気がでてきます。
参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房)
『春秋名臣列伝』(文春文庫)