秀丸の酒とゲームとロボットの日々

酒とゲームとロボットが大好きです

酒の日々・読むお酒 星新一『少年期』より

 わーい。先日本屋に行ったらば、漫画『BARレモン・ハート』35巻があったのですよ!年に一度のお楽しみ。

 

 さて、実はこのお話、星新一さんの本から採ったのではなくて、『酒の本棚・酒の寓話』という本から採ったのです。これまた『BARレモン・ハート』12巻に、松ちゃんが古本屋でこの本を見つけ、レモン・ハートウイスキーの起源を披露する話が載ってましたもので、私はネットでこの本を探しました。  

 

 夕ぐれ、50歳すぎの男が、帰宅途中にバーに寄る。出された酒を口にした彼は、酔いの訪れと共に8歳のころの夏を訪れる。

 少年になった彼は、夏の海を満喫した後、声をかけてきた男に酒を飲む楽しさについて聞く。

「いろいろあるんだよ、酔い心地には……」

「すごく楽しいもの……」

「そりゃあ、そうさ。だから酒があるんだし、飲む人もあるのさ」

 

「やっぱり、お酒って、とても楽しいものらしいな。早くおとなになりたいな……」

 そこで目を開く。彼はバーにいる五十歳すぎの自分に戻る。

「ああ、いい酔い心地だった」 バーテンが話しかけてくる。

「お客様は、いつも静かにお飲みですね。けっこうなことです。ずっと目をつぶったままでしたが、お眠りでもないようでしたし、お考えごとですか」

「まあね、追憶を……」

 手のひらを鼻に近づける。夏草のにおいが残っているようだ。酒とともに血管をさかのぼり、少年の日を訪れ、空気を吸い、今戻ってきたところなのだ。

  

 バーから出た彼は、前を歩く少年に声をかけ、酒を飲む楽しさについて聞かれます。

 もしかしたら、その少年は、過去に戻った自分自身なのかもしれません。

 

 超余談ですが、『十八史略詳解』をやっと読み終わりました。なんか十八の歴史書の話を通して多くの王朝が栄え滅ぶのを読むと、歴史は繰り返すというのを実感しました。 また、今まであまり知らなかった、宋の話が面白かったです。

 と言いつつ、今回紹介するのは宋ではなく元の名臣、耶律楚材のことば。

「一利を興すは、一害を除くに如かず。一事を生ずるは、一事を減ずるに如かず」

 なんちゃらごぉとぅキャンペーンぶちあげるより、他にすることがあるだろってことですよ、ね?

 

 

参考にした本:『酒の本棚・酒の寓話』(サントリー博物館文庫 7)

       『十八史略詳解』(明治書院