いやー、最近残暑が厳しいざんしょねえ。
今回紹介する詩は、唐華やかなりしときの詩人、王維さんのものです。王維さんが元二さんという人を、長安から安西まで送ったわけです。
渭城朝雨潤軽塵 渭城の朝雨 軽塵を潤す
客舎青青柳色新 客舎 青青として柳色新たなり。
勧君更尽一杯酒 君に勧む 更に尽せ一杯の酒
西出陽関無故人 西のかた陽関を出づれば故人無からん。
渭城の朝の雨が、もやもやを洗い流してくれた。
宿屋から柔らかい緑の柳が見えるよ。
ねえ君、もう一杯、飲もうよ。
西の陽関を出たら、もう君を知っている人はいないのだから。
お酒のグラスを通すと、なんでもない風景が、どこか違って見えますよね。
超余談ですが、最近『十八史略詳解』という本を昼休み中に読んでおりまして、いつも読みながらうとうとするのであまり進まないのですが、これがなかなか面白い。
あ、「十八史略」というのは、太古から南宋の滅亡まで、十八の歴史書のあらすじをまとめたものです。
同じ飲酒詩を読むにしても、その歴史的背景を踏まえて読むと、違った味わいになる、にゃー。
それにしても、唐の時代には太宗さんという、すんごい君主がいたのだにゃー。「吾詐りを為さば、何を以て臣下の直を(正直でないことを)責めんや。朕は方に至誠を以て天下を治めん」なんて、なかなか言えることではないですよ。
それにしてもそれにしても、千年以上昔の人のことばが今に届くなんて、全くもって文字というのは素晴らしい!
参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房)