秀丸の酒とゲームとロボットの日々

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酒の日々・読むお酒 蘇東坡『眞一酒』

 世間よりかなり遅れて「ファイナルファンタジー7リメイク」やっているのですが、回り道が多すぎて話がなかなか進まない印象。目的地甲に行くために乙を経由してさらに丙を経由する、みたいな。  

 

 まあそれはおいといて、今回は蘇東坡さんの詩。蘇東坡さんは、恵州に左遷されたときにこの眞一酒を作ったのだそうな。どこにいても、お酒は心の友なのですよ。

 

米麥水三一而已此東坡先生眞一酒也  米麥水、三一のみ。これ東坡先生の眞一酒なり。   

撥雪披雲乳得泓  雪を撥し、雲を披いて乳泓を得たり。

蜜蜂又欲醉先生  蜜蜂、又先生を醉はしめむと欲す。

稲垂麥仰陰陽足  稲は垂れ、麥は仰いで、陰陽足れり。

器潔泉新表裏淸  器は潔く、泉新たにして、表裏淸し。

曉日著顔紅有暈  曉日、顔に著いて、紅、暈有り。

春風入髓散無聲  春風、髓入つて、散じて聲無し。

人間眞一東坡老  人間、眞一東坡の老。

與作靑州從事名  與に作す靑州從事の名。

 

米と麦と水を同じだけ。これがおいらの真一酒。

このもろみ、まるで雪や雲のようにきれいだ。

この味、蜜酒のようにまたおいらを酔わそうとしているよ。

稲穂は頭を垂れ、麦は仰いで、これぞ陰陽。

器は清潔、お水は新しばっちぐー。

飲むと、朝日が当たったようにお顔がぽっ。

春風が骨身に染みて声も出ないや。

この眞一は、この世でおいらだけのもの。

だから、愛しさのあまりお酒の名前を付けたのさ。

 

 どうやら蘇東坡さんは、甘いお酒が好きみたい。

 それにしても、蘇東坡さんが楽しそうで、わが国では免許がないとお酒を作れないのですが、お酒は文化なのですから自由に作らせてくれよと思いましたよ。

 

 超余談ですが、最近経済を回さねばならぬならぬといってばかりの政治屋さんに、経済は「経世済民」(世を経め(おさめ)、民を済う(すくう))の短縮形であることを、その耳元で叫びたい気持ちがてんこ盛りですよ。

 

参考にした本:蘇東坡詩集巻34(道立図書館にあった本のコピーなので、詳細知らず)

       『歴史の活力』(文春文庫)