あまりにも部屋がむしむしするので、とうとう除湿器買ってしまいましたよう。大量の水が出てきてびっくりだ。
今ゲームは、ファイナルファンタジー7リメイクをやってます。最初のチュートリアル的なダンジョンで迷いまくりました。年だなあ。
あ、さて、ボードレールというフランスの詩人は、「悪の華」という詩集にお酒のコーナーを設けたらしいのですよ。この『酒の魂』は、そのなかの一編。かたまりじゃないよ。たましいだよ。
本来であれば、原詩を載せて自分の訳を載せるべきなのですが、それは無理なので、本(本の作者は沓掛良彦さん)に載っていた訳をお借りします。すみません。
ある晩、酒の魂が壜の中で歌っていた。
「人間よ、おお、親愛なる、廃嫡された者よ。
俺はこのガラスの牢獄と真っ赤な封蠟の底から、
光と兄弟愛にみちた歌を君に向けて歌ってやろう。
俺は知っている、俺の生命を生み出し、魂を与えるためには、
燃え立つ丘の上でどれほどつらい仕事し、汗を流し、
焼けつくような太陽を浴びねばならぬかを。
だが俺は恩知らずにも、悪党にもなるまい。
なぜなら、俺は労働で疲れはてた男の喉の中へと
流れ落ちるとき、とてつもない喜びを味わうからで、
その男の熱い胸こそは心地好い墓穴で、
俺がいる冷たい穴蔵よりもずっと気に入っているからだ。
君には聞こえるかい、日曜日の畳句(ルフラン)の鳴り響くのが、
鼓動している俺の胸の中でさえずっている希望の声が。
食卓に肘をつき、両袖をたくしあげて、
君は俺をほめたたえ、満足を覚えることだろう。
陶然となった君の連れ合いの目に、輝きをともしてやろう、
君の息子には力と血色とを取り戻してやろう、
人生を闘い抜くのにはひよわな彼のために、
格闘技をやる男たちの筋肉を強める、香油となろう。
植物から生まれた神食(アムブロシア)であるこの俺、
永遠の「種撒く神」の手で投じられた貴重な種子は、
君の体内へと流れ落ちてゆこう、俺たちの愛から詩が生まれ、
それは珍しい花のように、神のところへとほとばしることだろう。」
人がお酒を語るのではなく、お酒がお酒を語るのが斬新です。
今の時代、お酒はどんな歌を歌っているのですかねえ。
「飲酒運転とか、世の中の悪いことをみんな俺のせいにするんじゃねえ!」
という、怒りの叫びでなかったらよいのですけれど。(飲酒運転は悪いことですよ。悪いのはお酒ではありません、悪いのは、人です。)
超余談ですが、最近のニュースを見ていると、政治家の志(こころざし)がちっとも見えてきません。いったい何がしたいの?
『字統』で「政」と「治」の成り立ちを見てみたら、正が都邑を攻撃し、征服することを示す字で、その支配のために攴撃(ぼくげき)を加えることを「政」といい、「治」は水を治める儀礼をいう字であろう、だそうです。
「政」の解説文に、「〔論語、願淵〕に「政は正なり」というのは、儒家の理想論にすぎず、権力はつねに正であった。」とあるのがなんだかなあ。
いやそれよりもなによりも、ついでに「正」を『字統』で見てみたら、その解説文の中に「政治の目的は(中略)、厳しく査察して不正を許さぬということにあった。」とありまして、それができない政治家は、政治家ではなく政治屋とでも名乗っとけ、てな感じ?
参考にした本:『讚酒詩話』(岩波書店)
『字統』(平凡社)