夏っぽい飲酒詩を探していたのですが、なかなか見つからず。せめて月見酒で涼しいかなと思うのですが、どうでしょか?
靑天有月來幾時 靑天 月有って來幾時ぞ
我今停盃一問之 我今 盃を停めて一たび之を問ふ。
人攀明月不可得 人 明月を攀づるは得可から不
月行却與人相随 月行却て人與相随ふ。
皎如飛鏡臨丹闕 皎として飛鏡の丹闕に臨むが如く
綠烟滅盡淸暉發 綠烟滅し盡して淸暉發す。
寧知曉向雲間沒 寧ぞ知らん曉に雲間に向つて沒するを。
白兔擣藥秋復春 白兔 藥を擣いて秋復た春
嫦蛾孤棲與誰鄰 嫦蛾 孤棲して誰與か鄰す。
今人不見古時月 今人は見不古時の月
今月曾經古照人 今月は曾經古人を照らせり。
古人今人若流水 古人 今人 流水の若し
共看明月皆如此 共に明月を看ること皆如の此し。
唯願當歌對酒時 唯だ願はくは歌に當り酒に對するの時
月光常照金樽裏 月光の常に金樽の裏を照さんことを。
空に月があってどれくらいの時が経ったの?どうなの?お月さん。人は月に登れないのに、あなたは私についてくるのね。私は月が昇るのは知っているけど、いつ沈んだか知らないのに。(だって酔って寝ちゃうんだもーん。)
今の人は昔の月を知らないのに、今の月は昔の人も知っている。
昔の人も今の人も、同じ月を見る。
お願い、お酒を飲みながら詩を聴くときは、お月さん、私を見ていてね。
『今人不見古時月 今人は見不古時の月
今月曾經古照人 今月は曾經古人を照らせり。』
ここの部分が特に好きなのですよー。
言われてみてみれば当たり前のことなのですけれども、そこに気づくかどうかが、詩人とそうでない人を分けるのですかねー。
参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房)