秀丸の酒とゲームとロボットの日々

酒とゲームとロボットが大好きです

酒の日々・読むお酒 李白『把酒問月』

 夏っぽい飲酒詩を探していたのですが、なかなか見つからず。せめて月見酒で涼しいかなと思うのですが、どうでしょか?

 

靑天有月來幾時  靑天 月有って來幾時ぞ

我今停盃一問之  我今 盃を停めて一たび之を問ふ。

人攀明月不可得  人 明月を攀づるは得可から不

月行却與人相随  月行却て人與相随ふ。

皎如飛鏡臨丹闕  皎として飛鏡の丹闕に臨むが如く

綠烟滅盡淸暉發  綠烟滅し盡して淸暉發す。

但見宵從海上來  但だ見る宵に海上來 るを

寧知曉向雲間沒  寧ぞ知らん曉に雲間に向つて沒するを。

白兔擣藥秋復春  白兔 藥を擣いて秋復た春

嫦蛾孤棲與誰鄰  嫦蛾 孤棲して誰與か鄰す。

今人不見古時月  今人は見不古時の月

今月曾經古照人  今月は曾經古人を照らせり。

古人今人若流水  古人 今人 流水の若し

共看明月皆如此  共に明月を看ること皆如の此し。

唯願當歌對酒時  唯だ願はくは歌に當り酒に對するの時

月光常照金樽裏  月光の常に金樽の裏を照さんことを。

 

 空に月があってどれくらいの時が経ったの?どうなの?お月さん。人は月に登れないのに、あなたは私についてくるのね。私は月が昇るのは知っているけど、いつ沈んだか知らないのに。(だって酔って寝ちゃうんだもーん。)

 今の人は昔の月を知らないのに、今の月は昔の人も知っている。

 昔の人も今の人も、同じ月を見る。

 お願い、お酒を飲みながら詩を聴くときは、お月さん、私を見ていてね。

 

『今人不見古時月  今人は見不古時の月

 今月曾經古照人  今月は曾經古人を照らせり。』

 ここの部分が特に好きなのですよー。

言われてみてみれば当たり前のことなのですけれども、そこに気づくかどうかが、詩人とそうでない人を分けるのですかねー。

 

参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房