秀丸の酒とゲームとロボットの日々

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酒の日々・読むお酒 陶淵明『止酒』

 前回に引き続き、陶淵明さんの詩。漫画『BARレモン・ハート』16巻でも紹介されていました。

 1日に2度朝は来ないんだから今を楽しもうよと言っていた陶淵明さんに、いったい何があったのでしょうか?

 

居止次城邑  居は城邑に次るを止め

逍遥自閑止  逍遥として自ら閑止す。

坐止高蔭下  坐は高蔭の下に止め

歩止篳門裏  歩は篳門の裏に止む。

好味止園葵  好味は園葵に止め

大歡止稚子  大歡は稚子に止む。

 

平生不止酒  平生 酒を止めず

止酒情無喜  酒を止むれば情 喜ぶ無し。

暮止不安寝  暮に止むれば寝を安んぜ不。

晨止不能起  晨に止むれば起くる能は不。

日日欲止之  日日 之を止めんと欲するも

営衛止不理  営衛 止むれば理まら不。

徒知止不楽  徒だ知る止むるの楽しから不るを

未信止利己  未だ信ぜず止むるの己の利するを。

 

始覺止爲善  始めて覺る止むるの善と爲すを

今朝眞止矣  今朝眞に止めたり。

此從一止去  此從一たび止め去りて

將止扶桑涘  將に扶桑の涘に止まらんとす。

淸顏宿止容  淸顏宿容を止む

奚止千蔓祀  奚ぞ止に千蔓祀のみならんや。

 

 都会暮らしをやめて、畑の青菜、子宝、日常の些細な喜び、それが幸せ。

 今までお酒を止められなかったのは、お酒以外に楽しみがあるなんて信じられなかったから。

 でも、飲まない方がいいと始めて分かったんだ。今からもうきっぱりすっぱりやめてしまって、仙界の島へでも行ってしまえいえい。

 

 ・・・といいつつ、本心は仙界の島へ行くのと同じくらい、お酒を止めるのは不可能だい、ということらしいです。

 それにしても、中段のくだり、「夜に止めれば寝られない、朝に止めれば起きられない」よっく分かるなあ。

 まあ、飲みっぱなしがよくないのは事実なので、せめて明日は休肝日。

 

参考にした本:『中華飲酒詩選』(筑摩書房)